予防歯科
【予防歯科とは】
「痛くなってから歯科医院へ行く」「痛いところだけ治療をする」といったような従来のスタイルではなく、「悪くならないように口腔内全体を検査して病気を未然に防ぐ」「虫歯や歯周病など、治療した部分の再発を防ぐ」というように、「生涯にわたり健康を維持していく」ことが予防歯科の目的です。
予防が進んでいるスウェーデンでは、歯科医院での定期健診を大人で80%以上、子供では100%近くが受診しています。他の先進諸国でも約70%の受診率である一方で、日本の受診率は先進国の中ではかなり低いのが現状です。
毎日の正しいセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアで、生涯にわたり健康を維持していきましょう。
【PMTC】
虫歯や歯周病は、プラーク(歯垢)によって引き起こされる病気で、その予防には、規則正しい食生活や生活習慣、そして、プラークコントロールが大切です。
しかし、自分では毎日しっかり磨いていると思っていても、歯並びの悪い部分などは、磨き残してしまっていることが意外に多いです。
PMTCは、「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」の略で、毎日の歯磨きでは歯ブラシの届きにくい場所を、専門家である私たちが専用器具を用いて口腔内全体の清掃を行います。
完全に汚れを除去したあとは、歯に高濃度のフッ素を塗布し、歯質を強化することで高い予防効果が期待できます。
【口臭】
口臭や体臭は、本人が客観的に評価することが出来ません。家族はともかく、よほど親しい友人でもなければ、他人の口臭を指摘しづらいものです。それだけに、気付かぬうちに周りの人が迷惑していたり、本人が自分の息が匂うのではないかと悩んでしまったりと、口臭は見えないだけに厄介です。
(原因)
口臭の原因は、大きく分けて生理的な口臭と病的な口臭に分けられます。
生理的口臭は、飲食(ニラやニンニクなど臭いの強い食品、アルコール摂取)、喫煙、ストレスや緊張などの精神状態、唾液分泌の低下、女性における生理や妊娠中、成長期などのホルモンバランスの変調、空腹時や起床時など、生活習慣やリズムなどに応じて発生します。
病的口臭には、蓄膿症、気管支炎、胃潰瘍、肝炎、糖尿病などの病気によるものもありますが、口臭を主訴として歯科を受診する患者様の実に約8割以上の人は、口腔内に原因があります。
口臭の原因となる主な物質は、メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルサルファイドの硫黄化合物で、これらは口腔内の種々の細菌の代謝産物として口腔内に存在します。
この細菌は、ほとんどが嫌気性菌(酸素の存在では増殖しにくい性質)と通性嫌気性菌(酸素があってもなくても増殖できる性質)で、虫歯の穴の中や歯周ポケット、厚い舌苔(ぜったい)の中に潜んでいます。
特殊なケースとして、器質的変化や医学的所見がないにもかかわらず、本人だけが口臭を感じ、周囲にいる人に不快感を与えているのではないかと錯誤している自臭症というものがあります。
このようなケースの場合、心身医学的なアプローチを必要とする場合もあります。
(予防)
病的な口臭において、虫歯や歯周病などがあれば、まずはきちんと治療することが必要です。
そして、治療後は口腔内の環境を維持し、予防するために定期的なケアと毎日のセルフケア、規則正しい生活習慣が大切です。
【定期健診】
治療が終了しても、メンテナンスを怠ると再発してしまうことがあります。
定期健診を受けるか受けないかでは、歯の喪失本数に大きな差がでてきます。大切な歯を失わないためにも、自分に合ったブラッシング方法の指導や、歯石の除去などのプロフェッショナルケアを受けましょう。
日本では、まだまだ定期健診を受ける習慣が定着していないのが現状です。
どのような病気も、早期発見、早期治療は大切ですが、病気に罹ってから治療するのではなく、罹るのを予防することが最も大切です。また、肉体的、時間的、経済的な負担も軽くなります。
素敵な笑顔とご自分の歯でいつまでも美味しく食べられるために、是非とも定期健診をお勧めします。