上顎臼歯部、特に大臼歯部は歯根尖が上顎洞無いに突き出ており、同底部との間に骨がない事がある。
この様な場合、抜歯後にしばしば抜歯窩が上顎洞内と交通する。
術前にX線写真を撮影し、歯根尖が上顎洞内に突き出ているかどうかを確認しておくことは勿論であるが、もし、上顎洞との交通が疑われる場合、抜歯後に視診にて確認するか、頬を膨らませてもらうと良い。
上顎洞との交通が小さければ自然閉鎖する可能性が高いので、抜歯窩をスポンゼル等で塞ぐが、直径約5mm以上となる交通の場合は、頬側の粘膜骨膜弁挙上し、骨膜に減張切開を加え抜歯窩を縫合閉鎖する。
ちなみに、口蓋弁を用いる手技もあるが、口蓋部の創面を保護する必要があるのでサージカルプレートを予め用意する必要がある。
上顎8番の水平埋伏の抜歯をした下の写真のケースでは、直径5mm以下の交通であったため、抜歯窩内にテルプラグを入れ閉鎖し、テルプラグが抜歯窩から抜けないように縫合し終了した。