園医を勤めている保育園の歯科検診。
既に用意されているミラーがスゴイ数ですから、検診する人数もそれなりなワケですが、年々虫歯のある子も少なくなっているので、去年よりも早く検診が終わりました。
さて、予防法もよく分からなかった戦後の食生活が大きく変化した時代と、虫歯の予防法も確立されて、それが一般に広く周知されている今とを比べれば、虫歯のある子はかなり少なくなりましたし、虫歯があっても数本とか、既に治療済みとかはあっても、虫歯だらけで治療もしていないってのは、市の検診などに行ってもほとんど見かけませんね。
しかしながら、虫歯だらけで治療をしていない子が、ごく稀にですがいます。
ところで、子供の多数歯の未処置虫歯を治療せず放置させている事は、児童虐待防止の観点からネグレクトの兆候のひとつとされ、それを歯科医師が見つけた際は、児童相談所へ一応の通報義務があります。
以前、虐待についての講習会で聴いた話しですが、過去に善かれと思って言った歯科医師が、逆に親御さんのトラブルに発展してしまったケースなどがあったそうで、「共働きで治療に連れて行く時間がないだけで虐待ではない」「そもそも知りもしないクセに歯医者にそんなことを言われる筋合いはない」など、その他いろいろと複雑な背景も相まって、システムとしてあまり機能していません。
いくら通報義務があるからと言っても、善かれと思って言った事が逆にトラブルになるのなら、ウチら側も100%虐待の確証がない限りには、口腔内所見以外の事は言及しないようになるのも仕方の無い事です。
しかしながら、そうであろうとなかろうと、多数の未処置虫歯があること自体、可哀想のは子供ですから、何かよい方法はないモノかと思う次第なのであります。