虫歯酵素、立体構造を解明=予防物質開発に期待ー静岡県立大など(時事通信)
静岡県立大や京都大などの研究チームは、虫歯の原因となる酵素の立体構造を分子レベルで解明した。
構造情報を元に、酵素の働きを抑える虫歯予防物質の開発に期待できるという。
(中略)
口腔内の細菌が作る酵素「グルカンスクラーゼ」が、口に入った砂糖からグルカンという糖を作り、この糖が他の細菌を巻き込んで虫歯の原因の歯垢(プラーク)を作り出している。
この酵素の働きを抑えれば虫歯の発症リスクが減り、緑茶に含まれるカテキンなどに抑制効果があるとされてきたが、より効果的に抑制するには酵素の分子レベルでの解明が不可欠だった。
研究チームは、この酵素を結晶化し、規則的に並べた上でX線を当てて結晶内部の配列を特定、立体構造を解明した。
またグルカンが合成される際に、酵素が分子レベルでどう働くかも分かったという。
さて、虫歯の病原因子として同定されている酵素である「グルカンスクラーゼ」の立体構造をX線結晶構造解析によって明らかにすることに成功し、この酵素による多糖の合成メカニズムを明らかにした研究ですが、これまで「グルカンスクラーゼ」の働きを阻害することが、虫歯予防に効果的と考えられていました。
しかし、「グルカンスクラーゼ」と類似の酵素が口腔内や小腸等にも存在することから、「グルカンスクラーゼ」の働きだけを特異的に阻害する物質でないと、類似の酵素の働きも阻害してしまい、低血糖等の弊害を引き起こす可能性があります。
そこで、阻害物質のリスクを低くするために、「グルカンスクラーゼ」の働きだけを特異的に阻害する物質の設計が求められており、「グルカンスクラーゼ」の立体構造の解明が有効な手段として望まれていました。
で、コレまで困難であった「グルカンスクラーゼ」の立体構造を解明し、分子レベルでの動きを明らかになり、これによって、虫歯の病原因子である「グルカンスクラーゼ」の立体構造情報を元に、より選択性が高く、「グルカンスクラーゼ」に結合する阻害物質の探索や設計が可能となり、より効果的な虫歯の予防物質の探索に役立つコトが期待されます。
ところで、研究のムズカシイ話は置いてといて、いつの日か虫歯のない社会って日がきっと来るでしょう。
今後の研究に期待です。